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第020号 『編集者にウンと言わせる企画の見つけ方
         〜このテーマならこの出版社にぶつけよう!』

■面白くて役に立つメルマガ


おはようございます。
本多泰輔です。

このメルマガも20号を迎えました。
ありがたいことに「面白い」という声をよくお聞きします。

たま〜に「役に立つ」という声もあったりしますが「本多に祝儀をあげたい」「ぜひ有料にしてくれ」という声はまったくありません。

でも、ちょっとでも読者の無聊を癒し役に立っているのであれば、書き手としては冥加に余ることと思っております。

で、今回は「このテーマならこの出版社にぶつけよう!」。
思いっきり役立ちそうですけど、さてどうでしょう。

アタクシもさすがに全ての出版社に密偵を放っているわけではないので、また密偵の資質にも疑問が多いため、つまるところ各社の企画のエアポケットはオモテに出ている情報から推測するしかありません。

オモテとは、書店であり、図書目録(またはホームページ)であるわけです。要するに、やってることはCIAと大差ないわけであります。質的には。

もの凄くスケールは小さいですけど。


■いきなり結論です


さて、一社ずつ既刊、新刊を見ていくと書きましたが、そうすると多分二万点以上見なければならないので、それはやめて最近の動きと地下ネットワークの情報をもとに予想も混じえ作成することに変更いたします。

いきなり挫けました。

やはりCIAとは職員の数と能力に差があるようです。
でも案外CIAもこんなもんかもしれません。

表は出版社別求めているテーマです。もちろん実際求めているテーマは一つ二つではないですから、いくつかあるうちの一つと見てください。

今回もおなじみ「出版社勝手に格付け表」(某大手書店チェーン幹部作成)を用いましてのご説明と相成ります。なお、本多の情報網にない版元はあらかじめ表に載せておりません。ご容赦ください。


【Aグループ】
 〜老舗版元 大手ほどネタ切れの傾向でチャンスあり〜

単行本あり、文庫ありの大手ですから、すでにたいていのジャンルは揃っています。ところが、在庫が多すぎてところどころで死に在庫を抱えているのも大手であり、発行点数があまりに多いためネタ切れで酸欠状態なのもこの辺です。

それでいて他に先んじて新しいものに手をつけるのもここ。ストライクゾーンは広いです。欠点は、持ち込みを受け付けない門の狭さ。


●日本経済新聞社

『個人情報保護法』でいい目を見たため、新法施行・改正の潮目に虎視眈々。ただし2番手モノはやらない傾向が強いので注意。


●日経BP社 

来期の新卒採用で各社が熾烈になるのは必至。内定辞退、第二新卒をどう抑えるか、地味な社員教育モノでも久しぶりに陽の目を見るかも。でも、来年まで見越したネタを受け入れられるのは、こことここの親筋くらいのもの。他社では「?」でしょう。


●東洋経済新報社 
 
いまなら「営業」「マーケティング」。美談・成功体験を好むが、怪しい業種はダメ。NHK「プロジェクトX」を彷彿とさせるような美談にまみれた成功体験の企画が出せればGet goal!


●ダイヤモンド社 

こちらもテーマは「マーケティング」ですが、写真写りに自信のある女性著者なら速攻でOKでしょう。男性でも実績をアピールできれば可。女性は企画書にとっておきの写真を添付しましょう。大丈夫、写真なんて撮りかた次第です。


●プレジデント社 

密偵からの連絡が途絶えているため不明。安否が心配です。会社のほうは、雑誌を月刊から週刊に変えてから好調が続いているようなので、ボーナスも出たことだし、寝返ったのかもしれません。追ってご報告します。


【Bグループ】
 〜Aグループよりも歴史が浅い、でも悩みは大手より深い〜

Bグループは、以前にも書いたように発刊点数はAグループと変わりありません。ですから在庫の隙間も企画の渇きも同様です。ちょっと違うのは2番手モノでも割合躊躇なくつくってしまうこと。

売れ行きのよい本を見つけたらすぐおんなじ企画でオファーをかけましょう。パクっと来ますよ。ただし、ここも持ち込みを受けない狭き門ですから手づるを大切に。


●日本実業出版社 

最近従来のロングセラーから路線を変更しつつあるため、瞬発力のある企画であれば元々発行点数の多いところだけに全てジャンルでWelcome!新人にもチャンスあり。とりあえず「営業」「リーダー」「自己啓発」あたりのテーマを図解・体験談ネタで書ける人ならGO!


●PHP研究所 

文庫あり、新書あり、ムックあり、単行本あり、雑誌ありの総合出版ですので、隙間を埋めるテーマを最も必要としているかもしれません。営業現場の意向が企画に強く反映する傾向があるため、いきおい他社で売れたテーマを優先的に出しています。文庫編集部は、他社の単行本であっても積極的に文庫化します。


【Cグループ】
  〜自己啓発書グループは次の機会に詳報します〜

密偵が出張中なので、このグループは次回以降でやります。
 
自己啓発といっても「営業マンの自己啓発」もあれば「リーダーの自己啓発」もありまし「新入社員の自己啓発」もありますので、実際そのジャンルは多岐にわたります。

技術・ノウハウ的なものが少ないというだけで、テーマ・発行点数ともA・Bグループに匹敵します。しきいが高いのも似てますが、こちらはいくらか門番がやさしいかな。

…サンマーク出版、三笠書房、大和出版 情報源が、北方(つまり札幌)と中部・関西(つまり名古屋と大阪)方面に各個出張中なので詳しくは次回以降。


【Dグループ】
 〜ビジネス書の中堅どころはプレッシャーの一番きついところ〜

「のれん」はないが、相応の営業力はあるため常に在庫の重さに苦しんでいるのがこのグループ。

新刊偏重の出版業界の傾向が顕 著なのもここ。矢継ぎ早に新刊を出すことで売上をプッシュアップしていますから、常に動きの早い企画を渇望しています。

2番手モノでも3番手モノでも売れ筋と見たら決断素早く、つくるのも早い。が、企画の消耗品化傾向は避けがたく、発行後1〜2週の動きで売れ行きを見限ってしまいますから、呼吸を整える余裕もありません。

持ち込みについては、基本的に歓迎のスタンスをとっています。


●中経出版 
 
発行点数のわりにオーソドックスなビジネス書が少ない出版社です。そんな中、2時間(3時間?)でわかる図解シリーズが中核を占めており、『図解 個人情報保護法』が日経の『個人情報保護法』の後を追いかけて出てきたように2番手、3番手モノを「図解」で出すのを得意としています。

いまなら“図解 靖国神社”でも出すかと思われるくらい、流行のものを図解と結びつけます。さあ、「図解○○」で企画書をつくって送りましょう。


●かんき出版 

最近は『3時間熟睡法』『一冊の手帳で夢は必ずかなう』など、短小傾向というか、既存のテーマを効率性で斬る企画に活路を見出してます。“1分で仕上げる頭のいい文章の書きかた”とか“2分で納得させる頭のよい話しかた”とか“四国八十八ヶ所を一日で廻る法”とか「早い、カンタン」をコンセプトにした企画で勝負してみましょう。

一方、似たようなテーマを続けない、業界には極めて稀な潔さがありますので企画の幅は広いです。「ビジネスマンの生活」「仕事の仕方」に関するテーマもよさそう。


●明日香出版 

5年以上の長きにわたり定年シリーズを続ける同社が2007年問題を看過するはずがありません。“定年作家”でも“定年コンサルタント”でも「定年」企画のお持ちのかたは、明日香のドアを叩いてみましょう。

社長自ら本を書き出版する会社ですから、書き手にシンパシーがあるのかDグループの中でも、新人や素人が話を持って行きやすい雰囲気があります。


【Eグループ】
  〜新人著者にとってはチャンスの多い新興勢力〜

ラインナップの隙間を埋めるにも隙間が多すぎるので、今はいけそうなものをいこうというのがEグループです。

上位に比べ営業力では見劣りしますが、まだ過剰な在庫を抱えるには至っていないので、編集部は切迫した売上達成の企画を求められるほどでもなく、営業もある程度長い目でひとつの本をケアする余裕もあります。

まあ、中にいる人は給料が安いの、ボーナスが少ないの、書店が冷たいのと文句はあるでしょうが。

持ち込み企画は積極的に受け入れていますので、テーマの絞り込みは直接編集者と会ってから考えるとして、まず提案してみましょう。
 
とりあえず面白そうだからやってみましょうと言える余裕があるのがこのグループです。惜しむらくは営業力はありません。


●すばる舎 
 
すばる舎のかたは、このメルマガをご覧になっているそうですので、当てずっぽうで書く勇気はございません。でも「株」であれだけラインナップを揃えておられるわけですから、新旧を入れ替えまだまだ続ける筋なのではないかと拝察しております。

「株」は社内にプロがおられますからね(ってだれにおもねって書いているのでしょう)。


●インデックス・コミュニケーションズ 

旧オーエス出版です。インデックス・コミュニケーションズになってからどう出版傾向が変わったのか、あるいは変わらないのか、現在情報収集中であります。でも、企画があるなら直接聞いてみたほうが早いですし、運がよければ美人の誉れ高い編集長が応対してくれるかもしれません。


●こう書房 

「仕事と感動」のいい話に自信のあるかたは、持ちかけてみましょう。『社会人として大事なことはみんなディズニーランドで教わった』のヒット以来、サービスマインドや感動の体験が中核をなしてましたが、さらにこの路線を延ばしていくのか、別の方向にチャンスを広げようとするのか。

また、ここはビジネス書の版元にはめずらしいサービス業、飲食業関係のテーマを手堅く出しているところで、個人的にはリスペクトを感じております。本を読まない人が多い業界なのにねえ。


●あさ出版 

大手のノウハウをノックダウンした企画があれば、早速ホームページからエントリーしてみてはいかがでしょう。ここのビジネス書は、中小企業の目線で本をつくってます。『リッツ・カールトン』とかメジャー企業を取り上げてもその辺は変わりません。地味な実務もののテーマを好みます。


●ぱる出版 

わが情報網からは抜けている出版社ですので、これ以上詳しいことはわかりません。地下ネットワークには接触がありますので、ここも次回以降の報告とさせていただきます。


【Fグループ】
 〜なにを求めているのか編集に直接聞いてみましょう!〜

第二海援隊、ビジネス社、フォレスト出版は、直接編集部に行って聞いてみたほうが手っ取り早くてよいでしょう。

それができるのがFグループです。Fグループ以下も同様です。ただし自費出版の人と間違われないようきちんと意思表示するよう心がけることは必要です。


■まとめ


今回はけっこう骨の折れる原稿でした。

第10号で「ここまで書いていいのか!」と思いましたが、ますます深みにはまっていくようです。

各社2行くらいでと思っていたのですが、書いてるうちにだんだん長くなってしまいました。

いまは「ここまで書いてタダでいいのか?」という気分です。

ウラ情報ではありませんので、ここにあげたものは別に当事者たちに聞けばわかることです。聞いてみたら大はずれなものもあるかもしれません。

このメルマガをご覧の各社のみなさま、違っていたらお知らせください。次回はそれをネタに有意義な原稿を作成いたします。

といっても当の編集者も何を求めているかは判然としていないものです。求めるテーマが全社的に明確なら編集も楽ですが、編集者個々で異なっているのが普通です。

最終的には編集長の判断ということになりますが、編集長の頭の中にだって全ての企画があるわけではありません。

それぞれ刺激し合いながらやがて一つの形になるというは、森羅万象この世の理であります。

そういうわけで、いずれにしても狭き門ですが、本多の予想がはずれていても、それがきっかけとなってチャンスにつながるかもしれません。

版元の皆様、今週から妙なメールが頻繁に届くかもしれませんが、ひとつよしなに。

次週は、コンサルジェント樋笠社長の「突撃!トップインタビュー」ですね。お楽しみに。


    《編集後記》
 
今回は、出版社ごとに皆さんがアタックするための指南として、その傾向と対策をお届けしました。これまで皆さんは、出版社へ企画をもちこんだ経験はありますか?もし、そういった経験をお持ちでしたら、ぜひ情報を教えてください。読者のみなさんの参加型の誌面づくりを目指していますので、どうかご協力を!(発行者:樋笠)



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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。








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