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第030号 『出版に成功したコンサルタントに聞く
   〜道具としてのファイナンス、の石野雄一氏インタビュー』

■本より面白い政局


おはようございます。
プロレス並みに面白い解散総選挙で、仕事どころではない本多泰輔です。

関係者のところにもポスター制作の依頼が来たりしてけっこう賑わっております。今回は急だったので本を出した人はわずかでした。

辻元候補の本は選挙を予想してつくったわけではないので、中味に賛同できるかどうかはともかく、本としての出来は悪くありません。編集部がちゃんとつくってます。

一般に選挙に間に合わせるため急いでつくった本は、短納期のためどうもクオリティのよろしくないものが多い。どうせつくるなら良い本をつくろうよ。とは、だれもいわないのでしょうか。

議員または立候補者の本とコンサルタントの本は、よく似た性質を持っていますね。どちらも本業のPRが背景にある。

またどちらも売れたほうがその効果が高い。が、めったに売れない。

とはいえ、その昔、糸山英太郎氏が『太陽への挑戦』を出して政界に出たときは、本もベストセラーになりました。

売れることを諦めてはいけません。
そういうわけで樋笠社長が迫る、出版デビューのコンサルタント。

今回のゲストは、日本実業出版社から『道具としてのファイナンス』を出した石野雄一さんです。


■まずはメルマガに挑戦


樋笠:石野さん、本日はよろしくお願いします。もうすぐデビュー作の発売ですね。この出版はメルマガがきっかけと聞きましたが?

『道具としてのファイナンス』(2005年8月25日:日本実業出版社)


石野:メルマガは昨年3月スタートしたのですが、当初から出版を意識していました。無料で出すべきか悩んだのですが、自分は無名ですし、まずは名前を売るといいますか、読者が増えて出版社から声がかかれば、と思って。


メルマガ:実践!EXCELで学ぶ経営財務入門


樋笠:で、順調にメルマガが成功して、出版社から声がかかったんでしょうか?


石野:いえ、まったく(笑)。ファイナンスというテーマが難しく感じたのか読者数もそれほど。それで1年前に、自分から行動を始めたのです。


■きっかけは、プロの出版支援サービス


石野:ちょうど「出版塾」さんで企画書を添削してもらえるという有料サービスを知って、申込みをしました。


樋笠:おーっ。出版塾さん、有名ですよね。私もメルマガ購読しています。


石野:それで代表の畑田さんに、出版企画書を添削してもらって、いただいた50社のリストを元に、出版社へ企画書を送ったんです。すると・・・最終的には7社から声がかかりました。


樋笠:えっ、7社!すごい確率じゃないですか。ちょっと驚きですね。それで、どうやって日本実業出版社さんに決まったんですか?そのプロセス、すごく興味あります。


石野:送って3日くらいで、一番最初に連絡をいただいたのが、日本実業出版社さんでした。それで直接お会いして、すごく熱心に勧めていただいたのでじっくりお話を伺って決めました。

実際にお会いしたのはもう2社ありました。まず1社(C社)は、大学の先生や法律家などの専門書を出版されている所で、もっとやわらかい企画を探していらっしゃったようです。

しかし、これはちょっと堅すぎるな・・・と。

もう1社(これもC社)は、ビジネス書のベストセラーも出されている所ですが、もう決まったとお伝えすると、違う切り口の企画で、とおっしゃって頂きました。その後は、まだ
進展はありませんが。


樋笠:なるほど。やっぱりスピードが制する世の中ですね。さすが日本実業出版社さん、気合い入ってましたね。ところで、あとの4社はどうでした?


石野:メルマガのテーマが「実践!EXCELで学ぶ経営財務入門」でしたので、エクセルで学ぶシリーズを出版されているE社さん。ちょっとエクセル操作中心になると、違うかな、と。

次に、金融系が専門のK社さん。ちょっとプロ向けすぎて、一般ビジネスマン・経営者向けという趣旨と合わないと思いまして。

それから中堅ビジネス出版社のA社さん。もう決まったとお伝えすると、「そうですか、うちの社長と名前が同じですし、またぜひご縁があれば!」とおっしゃって下さいました。

(注:)版元事情通のあなたなら、お分かりでしょうか?

最後に、ビジネス出版界大手のD社さん。ちょうど2週間経ってご連絡を頂きました。

私が好きな本も沢山出していらっしゃるし、すごく魅力的だったのですが、今回はもう話が進んでいましたのでお断りしました。

周りの友人からは「D社にしたらいいのに〜!」って言われましたが。


■なぜ、7社もオファーがあったのか?


樋笠:それにしても素晴らしい成果です。ご自身で分析すると、勝因は何だったと思われますか?


石野:コンテンツには自信があったんです。私が米国へ留学中に、エクセルを使ってファイナンスを学ぶ授業があって。これは面白いな〜と感心しました。

これまで日本では見たことがない切り口でしたし、絶対に日本でも受けるだろうと思いました。それが、そもそもの始まりです。

それから、私が日産自動車で、実務でファイナンスを担当していたという経歴が評価されたと思います。

ご承知のとおりゴーン社長の改革が脚光を浴びていましたし。出版社としても、話題づくりしやすかったと思います。


樋笠:経歴を拝見しますと、2003年に「日産賞」を受賞されているんですね。おーっ、さすが!


石野:一番、決め手になったのが、何といっても出版のプロの力をお借りしたことでしょうか。

畑田さんは、普通は返事もらうまで1ヶ月くらいっかかることもあるし、あんまり期待しないで下さい、とおっしゃっていたのですが。異例の出来だったようです。

最初の企画書はもちろん、出版が決まってからは、有料の添削サービスも利用させていただきました。

ファイナンスの専門家でない視点からも、わかりやすく校正やチェックをしていただけましたので、思いのほか、編集者からの直しがほとんどなかったです。

私もファイナンスの専門家ですが、自分が分からなかった頃の初心者の気持ちになって書くように心がけていたんですが、ときどき、自分がいったい何が分からなかったのか、分からなくなってしまって(笑)。

そんな時、客観的にアドバイスして戴けたのが、本当に心強かったです。


■帯の推薦コメントで売れる工夫を


樋笠:さすが出版塾の畑田さん。プロの仕事ですね。ところで現在は日産自動車を退職されて、コンサルタントとして独立されましたが。日産時代の周りの反応はいかがでしょうか?


石野:友人は、意外とあっさりしていますね。どうやら自費出版するくらいに思われているかもしれませんね(笑)。

直属の上司である佐藤明氏(VP財務部)には、推薦コメントをお願いして、快諾していただきました。↓


<推薦文>
「企業の将来は、情熱の強さと投資に対するリターンを測る冷徹さによって決まる。この本は筆者の日産再生のプロセスの中の情熱と冷徹さの体験記かもしれない」


樋笠:おーっ、かっこいいですね。


石野:この推薦文に対して、当初、出版社の考えたタイトル案は『彼のファイナンスへの情熱が日産を再生させた!』なんです。

これはちょっと大袈裟というか、事実と違いますし、恥ずかしいのでやめて下さい!って必死にお願いして、却下して頂きました(笑)。

それから、板倉雄一郎さんの推薦文をいただきました。


樋笠:えっ、あの板倉さん!?すごいですね。うちはインタビューDVDを買って社員で回して観ましたよ。


石野:友人の紹介でお会いして、板倉さんの主催されているセミナーでご一緒させていただいたんです。↓


<推薦文>
「ファイナンスとは、つまるところ〈人の心〉を論理的に観察する手法に過ぎない。しかし、この手法抜きにして経済を語ることは出来ない。本書は、その『手法としてのファイナンス』を論理的に明快に解説している」


樋笠:人の心、っていうのが、資金調達でもすさまじい体験をされた板倉さんらしい感じがしますね。


石野:板倉さんは社会貢献のマインドが強く、いかに社会に価値提供できるか、に関心のある方と思いました。セミナーもレベルが高く、素晴らしかったです。今後、色々とご一緒できる機会があるので楽しみです。


樋笠:日産自動車・財務部の佐藤さんと、板倉雄一郎さんの推薦。これで宣伝効果も、抜群ですね。


石野:書店で使うPOPのキャッチコピーは全て自分で考えました。

発売後は、出版社の営業担当の方と、書店まわりをする予定ですが、大手書店しか行けないので、あとは自分でコツコツまわってみようと思っています。


■最後に、出版アドバイスを


樋笠:この著書のPRポイントを教えてください。

『道具としてのファイナンス』(2005年8月25日:日本実業出版社)


石野:銀行員といってもファイナンスとは無縁の時代、米国留学で開眼した時代、そして日産自動車の財務部でファイナンスを実務で使いこなした時代。これらの実体験から、

○ファイナンスの意味がわかる!
○EXCELでかんたん計算!
○日産での活用例を満載!

というポイントで、分かりやすく伝えることを心がけました。

ぜひ、企業の財務担当の方ばかりでなく、実務で活用される経営者や、ファイナンスをさらに深めたいコンサルタントの方にも、読んでいただきたいです。

それから、50冊以上で一括購入いただける場合は、特別価格で出張セミナーも検討していますので、ぜひご相談下さい。


樋笠:ありがとうございます。では最後に、これから出版デビューを目指す読者のみなさんに、アドバイスをお願いします。


石野:畑田さんもおっしゃっていましたが、そもそも内容以前に、企画書の体裁をなしていないものが多いそうです。私の場合は上手くいきましたが、そもそも出版社に読んでもらえないものが殆どだと聞きます。

私もファイナンスのプロを自負していますが、やはり出版に関してはまったくの素人でした。やっぱりプロはプロ、餅は餅屋。専門家のサポートを受けるのが一番ではないでしょうか。正直言って、自分でやるより、断然スピードも、費用対効果も、高いと実感しています。


樋笠:石野さん、ありがとうございました!ぜひ出版の成功と、今後のコンサルタントとしての成功をお祈りしています!


■まとめ


なるほど。

本多の出版プロデュースが、閑古鳥しか鳴いていないのは、みんな出版塾へ添削を頼みに行っているからだったのですね。

それを自社のメルマガで、でかでかと出版塾の手柄とともにPRする社長と、あたたかく見守る編集者。

世間では考えられないおおらかな振る舞い、捨身飼虎にも通じる崇高なる精神。それでいて下のほうでこそっとPRするいじましさ。

やはり出版塾には勝てないなあ。

それはともかく、石野さんに7社の版元からオファーが来たのは、企画書もさることながらご本人の筋が良かったのでしょうね。

ぜひ独走中の『世界一わかりやすい株の本』を追い落とす「刺客」になって欲しいものです。

次回は、あてにならない文章講座「悪文ってなに?」でまいります。
お楽しみに。


…………………………………………………………………………
◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆

『道具としてのファイナンス』(2005年8月25日発売!)

著者:石野 雄一 出版社:日本実業出版社 価格:¥2,520(税込)

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<内容紹介>

●「道具としての」ファイナンスを仕事に使えるようになる本!「ファイナンスといえば、本を開くと数式のオンパレード、講習会に行ってもムズカシイ理屈ばかり…。仕事に使えるファイナンスの本はないのか!?」――そんな嘆きはもう不要。

●複雑な数式の代わりにEXCELを活用。経営者の使命は「有利な条件で資金を調達し、その資金によってより大きな収益を上げる」こと。そこで求められるのが、ファイナンスをかじった人にはおなじみのオプション理論 やDCF法などなど。では、忙しい経営者が理論の証明や数式を理解しているのか、といえば、そんな人は一握りもいない。複雑な計算はEXCELで!ということだ。

●実は著者も苦労してMBAを取得した!100冊以上の本にかかったお金は70万円!銀行マン時代から数学が得意ではなかった著者の転機は EXCELとの出会い。本書では、まずはファイナンスの意味をトコトン理解してもらい、さらにEXCELでの活用法までを徹底伝授!

●各企業の実例を用いてやさしく解説!「理論先行」を排し、最適な資金調達やプロジェクト選択など、ビジネス現場(日産自動車)で得た、実務に役立つ知識・方法をわかりや すく教えます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《著者プロフィール》
石野 雄一(いしの ゆういち)

1991年、上智大学理工学部卒業後、旧三菱銀行入行。個人・法人新規取引、外為業務、融資業務に従事。2000年、東京三菱銀行退職後、米国インディアナ大学ケリー・スクール・オブ・ビジネス(MBA課程)入学。02年、インディアナ大学卒業。同年6月日産自動車入社。財務部でキャッシュ・マネジメント、リスク・マネジメントに従事。03年3月にサプライヤー信用リスクモデル開発により日産賞を受賞し、ERM(Enterprise Risk Management)に従事。04年7月、ゴーンCEOに日産自動車が取り組むべきリスクとあるべきERMを提案。05年3月、日産自動車退職し、戦略財務コンサルタントとして独立。

    《編集後記》
 

今回は石野さんの新人らしからぬ才能と、出版塾さんのパワーを実感したインタビューでした。石野さん、経歴を見ると切れ者風ですが、じつに「ほんわか」した優しい雰囲気の方なんですよ。

私としては、そろそろ本多さんのプロデュースの底力を見せていただきたい、と思っています。メルマガは面白い!とよくお褒め戴くのですが、毒舌が災いしてか(?)、勇気あるお申し出がまだまだ少ないんですよね・・・。(発行者:樋笠)



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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。








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