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第086号 『出版は投資です!
       〜投資家を口説くように出版社を説得しよう』

おはようございます。
本多泰輔です。

最近『セミナー講師で稼ぐ法』(総合法令)という本を見ました。もの凄く売れているというわけではありませんが、かなりよい動きをしているようです。

「コンサルタントになるには」とか「講師の技術」的な本は昔からあるのですが、ほとんど売れないジャンルでした。このメルマガ同様、狭い範囲の読者をねらうのですから、そう大部数が出るはずもありません。

ところが上記の『セミナー講師・・・』は、それら超地味な本に較べるとかなり部数が伸びている本で、ビジネス書の中でもいまのところ売行き良好書の部類に入ります。

『・・・で稼ぐ法』というところが効いているのでしょうか。このメルマガも「本を書いて稼ぐ法」とすれば、もう少し人気が出たのかもしれません。果たして07年問題が影響しているのか。それとも会社勤めを嫌う人が増えているのか。

それなら「研修講師で稼ぐ法」「コンサルタントで稼ぐ法」というのもいけるのでしょうかねえ。今度企画書つくろうかな。


■版元にとって出版とは


いまさら言うまでもありませんが、版元(出版社)にとって本は商品であり、出版は事業活動に他なりません。本を作って売るのが商売です。その点では一般メーカーと何ら変わるところがありません。

ただし、一般メーカーに較べると新商品を送り出す頻度が異常に高い、例えば自動車メーカーなら新車発表は年に数台、モデルチェンジをいれても十数台でしょう。

対して出版社は自動車メーカーよりも規模は遥かに小さいながら、業界トップで年間2,000点以上、中堅規模でも200点に及ぶ新規開発商品、すなわち新刊を発行しています。

既刊本の重版を重ねるなら安心安全の堅実経営ですが、新刊はある意味ハイリスクハイリターンであり、常に冒険です。要はお金の問題ですので、ハイリスクハイリターンな「投資」をしているといっても差し支えありません。

版元にとって新刊イコール投資です。

投資である以上、できれば高い利率で、なるべく早く回収したいと思うのが人情です。しかし、あらゆる投資がそうである通り、すべてが思惑通りにいくことはありません。

大当たりの投資もあれば大ハズレもあります。ゆえにトータルで利回り10%もプラスであればよしとせねばなりません。投資利回り10%では経営なんてやってられないじゃないか、と出版経営者の怒りを買いそうです。

実際、決算上の利益はもっと大きいのが普通です。売れない在庫も利益に見なされるのが出版社の決算ですから。でも流動性だけを見れば、多くのところで大体こんなもんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

では、投資というなら一体どのくらいの金額を注ぎ込んでいるか、という疑問が湧きます。新刊一点に対する投資金額を見てみましょう。


■モデルケース


出版社の商品は、新刊だけではなく既刊本もありますが、計算がややこしくなるので、ここでは新刊のみに注目します。新刊一点あたりの投資金額とは、つまりは制作・販売に注ぎ込む費用です。

なお、ここで挙げる金額は、ま、こんなものという程度の数字であくまで目安です。この数字をそのまま出版社経営に流用すると多分倒産します。

まず前提条件を定めます。

会社規模。

中堅、年間新刊発行点数200点、社員50人、社歴30年ということにします。

取引条件。

取次ぎへの卸価格を正味といいます。

上は定価の75%から下は60%までという厳しい差別社会ですが、社歴30年の中堅なので正味は69%といたします。

著者印税。

最近は世知辛く10%を払うことが少なくなり、新人著者の場合6%や5%というケースも稀ではないのですが、ここは著者のためのメルマガですので、すこし高めに定価の8%といたします。

初版の発行部数。

企画によって差がありますが、中堅どころなら大体8,000部〜5,000部が初刷りの部数です。印刷費はどっちでもそう大きく変わらないので8,000部といたします。

定価。

これは一番多い価格帯、1,500円といたしましょう (本体価格は税抜きですから普通端数になりますけど、ここは計算のしやすい数字のままでまいります)。


■新刊一点の投資と回収


上記の条件でコストを見てみます。

まず印刷・製本費用。

仕様を何にも定めないまま数字を出すのもどうかと思いますが、そこは大胆さが売りのメルマガ、著者の独断と偏見で見当をつけます。
ざっと200万円ってところかな。

次に大きいのが著者に支払う印税。

8%だと実売方式でカウントしているところも多いのですが、やはりここは著者のためのメルマガ、印刷部数方式でいきましょう。

すると定価1,500円の8%で初版8,000部印刷ですから96万円(消費税は定価で無視しているのでここでも無視します)が初版の著者印税です。

そして編集費。

つまりは人件費ですから給料の高い人がやれば高くなるし、新人がやればいくらか安くなります。年間200点発行だと編集一人あたり月3本は出しますから、当然外部の編集スタッフを使います。一点あたりだと50万円程度の見当かと思います。

本当は一ヶ月で編集できませんけど。給料がよい会社ならもっと高いですね。広告・営業費および間接経費。広告はほとんどが新聞広告です。営業費用は人件費や交通費も含みますが、この数字は出しようがありません。

よってここも大胆に著者の記憶と気分で、一点あたり30万円くらいとします。

さらに間接部門の人件費、(あまり働かない)偉い人たちの給料、家賃、倉庫料、借金があれば金利など、諸々がこれに加わります。
が、企業の事情により大きく異なりますし、とりあえず置いときます。

さあ合計です。

っと376万円が、新刊一点に要する制作コストでした。さて、初版8,000部の新刊にかかったコスト376万円を回収するには、何部売らねばならないのか。

モデルケースの場合、正味は69%ですから、376万円÷1,035円はざっと3,633冊。しかし、これでは返品率54.5%!取次ぎからペナルティをくらい、関節経費も出ない。儲かりません。利益が出なければ再投資もままなりません。

じゃあ、一体どのくらい売れればOKなんでしょう。


■編集者を数字で説得せよ


「4,000部売れれば損はないんですよね」と中堅どころの編集者に言えば、普通「冗談じゃない!」という顔をしてこう言うはずです。「1万部売れて、やっと元が取れる程度ですよ!」

実際、見たとおり4,000部では利益なしの自転車操業ですから出版社も困りますが、編集者の「1万部」も習慣的にそう言ってるに過ぎず、さしたる根拠はありません。

斟酌すれば、「次の投資(新刊制作費)分くらいの余剰金は欲しい」ということでしょうか。経営ですからね。

細かいことを詰めると話が破綻してしまいます。要するに、今回申し上げたいのは次の点です。


(1)各出版社は毎月20点近くの新刊ひとつひとつに400万円 くらいの投資を実行しているということ。

(2)投資である以上、「企画を提案する人は、投資家である出版社、あるいはその窓口である編集者に対し、投資家をかき口説くように説得しなければならない」ということです。


すると口説き文句はこうなります。

「このデータを見てください、これなら上手くいけば10万部も可能ですよ。次にこちらのデータをご覧ください。これなら仮に先の目論見が違っても1万部は確実です」

それでも渋る相手なら「万が一の場合でも4,000部はこの人たちが購入しますから、確実です」と、とどめのデータを示せば失敗はありません。

元本保証の上、高利回り企画となれば出版社もイチコロです。
こうした手段もひとつのアプローチです。

ではまた来週。


………………………………………………………………………………
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締め切り迫る!9月末で第一次募集を締め切ります。

<企画概要>

あなたの企画書を、本多が目利きして、版元へ持ち込み出版交渉をします。お受けできる条件は、

○ビジネス系の出版企画であること

○商業出版を前提としたもの(社史や専門書は不可)

○まだ出版が決まっていない企画であること

○すでに出版社へ持ち込んで検討中のものでないこと(訳あってボツになった、交渉が決裂したものは可)

○お預かりする費用は無料です

○企画は、コンサルジェントおよび本多氏がセレクションした上で出版社へ持ち込みを代行します

○セレクションの結果、持ち込めないとなった企画については、本多氏がコメント(もっとこうすれば良いんじゃない?)をつけて簡単なアドバイスをいたします

※持ち込めないとなった企画書の添削はいたしません。有料の添削 やプロデュースサービスをご希望の方は、こちらをご覧下さい。

○見事、出版が決まった企画については、初版印税のうち3%という成功報酬です

○企画書の事例は、ご本人の承諾のうえで、このメルマガでご紹介させて戴く場合があります

<応募方法>

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1.仮タイトル
2.仮目次
3.本書のセールスポイント
4.本書の持つ市場性・ターゲット読者層
5.類書の有無
6.類書との違い
7.原稿の仕上がり予定
8.著者略歴・著書の有無
9.原稿見本(10ページ以内)

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(メール送付先)
maimagl@consulgent.co.jp

※件名に『コンサル出版企画書』係まで、と明記ください。

(郵送の場合)
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町1-10-2きめたハウジング6F
株式会社コンサルジェント 『コンサル出版企画書』係

<締め切り>
2006年9月末日までに到着分まで



    《編集後記》
 


今週はかなりコアな内情に踏み込んできましたね、本多さん。出版ビジネスを「投資」「リターン」の観点から、リアルな数字で踏み込んだ内容は、あまり出版社のインサイダーからもほとんど漏れてこない内容だと思います。元ベテラン編集者の意地でしょうか?

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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。

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