おはようございます。本多泰輔です。
さて、いきなり宣伝です。
前号でご案内いたしましたがこのたび電子書籍にトライしました。
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『本気で出版したい!と思ったら読む出版社の本音と攻略法がわかる本』
http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/11952
「でじたる書房」で絶賛!売れ残り中です。
定価は激安800円(税別)、本当は80円でもよかったのですが、電子書店のほうであんまり安いと販売できないというので800円にしました。
何の本かというと、要するに本メルマガにこれまで書き記してきたものをまとめました。
時制の違いがありますから相当に加筆修正していますが、主旨に違いがあるわけではありませんので、メルマガ発刊以来継続してお読みいただいているかた、あるいはバックナンバーをすべて読破したかたには、はっきりいって無用だと思います。
ウソだとお疑いなら一冊買って読んでみて下さい。
メルマガを読んだがもう忘れた、いまさらどうでもいい与太話まで含めて読み直すのは嫌だ、というかたにはいくらか役立つかもしれません。一応、肝心な部分だけを抜き出してまとめましたので効率よく読めると思います。
なぜ、電子書籍かというと、これも前号のテーマでしたが、電子書籍はまだまだ未知のジャンルですので、とにかく一遍やってみよう、やってみればなにかわかるだろうというのが動機です。
最近、耳にする日の出の勢いの電子書籍とは一体いかなるものなのか、落日の勢いの既存の出版業界とどのように違うのか、自分で試すのが手っ取り早い。
そういうことで、どうなるか楽しみですが、なんとなく結果が見えているような気もしております。
■倒産は企業の死か
前振りが長いですが、もう一つちょっといい話です。
新聞でも報道されましたのでご存知の方が多いと思いますが、老舗の手芸用品大型店キンカ堂が倒産いたしました。
先日、都内池袋で打ち合わせを済ませ、すこし時間をもてあましたので、駅前をぶらぶら歩いておりました。キンカ堂池袋店は東口駅前にあります。
かつては書店もあって、キンカ堂で一日5冊売れた、そりゃすごい、てなことを話していた記憶があります。
そのキンカ堂の近くまで来たら、なにやら人だかりができておりまして、何事かと遠くから覗き込んでみましたところ、閉じられたシャッターにたくさんの貼り紙が見えます。
最初は、債権者が「金返せ」とか「社長出て来い」とかいう怒りの張り紙を貼ってるのか、労働組合が「賃金払え」「退職金払え」というビラを貼ったのかと思っておりましたが、よくよく見ると、張り紙にはハートマーク付でありがとうという文字が。
キンカ堂のお客さんたちが、いろんな思い出を書き綴ってそれをシャッターに貼っていたのでした。
キンカ堂池袋店は歴史の長いお店ですから、昭和30年代、洋服が高くて変えなかった若いころにキンカ堂で材料を買って自分でつくっていたという年配者の思い出もあれば、キンカ堂を待ち合わせの場所にしていた女の子のメッセージ(ある意味、いまでも待ち合わせのランドマークにはなってますが)、いろんなお店を回って品物がなくても最後にキンカ堂に来ればあったという熱心なユーザー、復活を待ち続ける健気なファンの声をあります。
衆人環視の中の実物ですから操作は不可能。リアルな感謝と哀悼の声です。これは一種の弔辞なんだなと思いました。
倒れた会社を悼み、感謝と思い出を語り在りし日のお店を偲ぶ。そういう儀式が自然に生まれたのだなと思います。その思いを裏付けるようにシャッター前には花束も添えてありました。
そしてこれだけお客に愛されていたキンカ堂というお店は、きっとよいお店だったんだと思います。JALより支援すべきはこっちなんじゃないか。
人は死して後その評価が定まるといいますが、あるいはそれは企業にもあてはまることなのかもしれません。
池袋方面へ行かれる機会があったら、東口から駅を背にして道路右側をすこし行きますとキンカ堂の前に至ります。
事前情報なしに現場を通ったほうが感動は大きいですが、時間があったら見てください。
■編集長のタイプ
過去に編集長クラスを落とすなら、ビジネスになる話を持っていけば一発で落ちると書きました。電子書籍でもそのように書いてあります。
彼らはもはや経営者なので関心事はとにかく売上であると。どこから来るお金であろうと売上が立つならOK。例えば、有力なスポンサーを紹介してあげたら泣いて喜びます。
とにかく売上に結びつく話にはすぐ飛びつく。商売第一。などと書いてありますが、本メルマガの読者に限り電子書籍にない情報も追加サービスいたしましょう。
はっきり言って、ビジネス書の出版社では例外的な編集長はいませんが、スーパー大手、大会社の編集長にはときに、ひも付き出版を邪道とする正しい人がいます。
世の常で正しい人というのはあんまりいませんから、ひょっとすると一生のうちでお目にかかることはないかもしれません。
でもときどきいます。
そういう世にも稀な正しい編集長に、ビジネスになる話を持っていくとかえって逆効果になってしまいますので注意が必要です。
とはいえ、別に胸に「正しい編集長」という名札をつけているわけではないですから、見た目で見分けることは不可能です。それに正しい編集長だって、本は売れたほうが言いに決まっているわけなのでやや複雑な面があります。
では、うっかり虎の尾を踏まないためにどのような注意を払えばよいのか。
■出会うことは稀ですが
相手がビジネス書の出版社であれば、どの編集長にしてもそもそも尻尾のない虎ですから尾を踏む心配はありません。ビジネス書の版元に行くのであれば注意は不要です。
問題は「ビジネス書も」やっている総合出版社で上から10番目以内のところ。
あるいは「ビジネス系の本も」出している全国紙の出版部。
ま、だいたいこの2種類でしょう。
総合大手が相手で、いきなり編集長と会うというのも、そうある話しではありませんが、なんかのはずみでそうなってしまった場合、さてどう振舞えばよいかということになります。
出版しようとする本にはスポンサーが付いてまして、出版されれば毎年5000部ずつ買い取りがあるとします。
このこと自体は大いにプラスなことですし、事実そのように運ぶのであれば、どこかのタイミングでそう言わなければなりません。
5000部買い取りがあることを理由に企画をボツにする人は、さすがにいないのですが、主体はあくまでも企画であって「おみやげ」が目的で本を出すのではないという、立派な矜持が編集長にはあるわけですから、そこを誤って伝えないようにすることが肝心要です。
ちなみに出版界の人間は、すべからくこの矜持ある編集長のように振舞いたいと本音では思っています。しかし、組織の事情がそれを許さない。
志だけでは会社は生きていけないので、お金のためにすこしずつ節を枉げている。ああ、一度くらいかっこいいことを言ってみたいなあ、と内心では思っているのです。
その他の編集長のことはともかく、この場合まず買い取りのことを先に言ってはいけません。当然、企画書に買い取りのことなど決して書いてはいけません。
いつも会っているビジネス書の餓狼のような編集長なら、テーマより先に買い取り部数を聞いてきますが今回の相手は違います。
話の最後に「実は本ができたら会社でのほうでも使うので、毎年5000部ほど購入したいのですが可能でしょうか」と、あたかもご迷惑かもしれませんがという姿勢で申告しましょう。
たぶん相手は「ラッキー!」と内心では思っているでしょうが、それを見透かすように「これだけ買えばそっちに損はないでしょう。
ほら、ありがたい話でしょう」という姿勢はおくびにも出さない。「かえってお手間かもしれませんが・・・」という雰囲気で、ひと芝居もふた芝居も打つこと。
芝居に自信がなくても慎重にことばを選べば問題は起きません。編集長まで会っているなら企画はかなりいい線までいってるわけですから、企画については大いに自信を持って主張していいところです。
それを功を焦って買い取りの話を駆け引きに使おうとしなければいいのです。
ただ、何にもないより買い取りはあったほうがいいので最後に触れておく。それももったいぶらずにさらりと。
そんな編集長が本当にいるのかと疑問を覚える人もいるでしょうが、決していないわけではないところが出版界の奥深いところなのです。
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