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連載コラム
連載コラム『会社を強くする組織の条件〜事例に学ぶ、意識改革、生産性倍増への道〜』平石 奎太/平石経営研究所
シリーズ:会社を強くする組織の条件 会社を強くする組織の条件
 
第4回 『10%の直行不能率が、僅か5ヶ月で0.33%に!
  〜―カギは二つ“目標設定”と“アクションプラン”』(事例1)


■事例.1

この会社は、公共投資削減の影響で、売上高が2分の1に急減して赤字に転落し、苦境のどん底にあった。勿論当時賞与はゼロだった。その会社が、5年後に賞与も支払い更に営業利益率5%超(実質利益率改善10%以上)を達成した。

その間、本社の体質改善(4S、組織の活性化、コストダウン、品質改善、在庫削減etc.)の活動を進め、体質が強化されるにつれて社員の意識も変わり会社は活気を取り戻して行った。

そして改革の最後を締めくくる大きな決め手になったのが、標題の海外子会社の品質改革だった。


【6月に10%だった加工工程の不良率が、僅か5ヵ月後の11月に0.33%にまで改善された】



この品質の改善が、単に品質だけでなくグループ全体の成長力を劇的に伸ばすテコになろうとしている。

一体僅か5ヶ月でそれほどの改善がナゼ実現できたのか、そこに組織の改革を進めていくうえで、最も本質的且つ重要なカギが秘められている。


1.品質改革の締めくくりは海外子会社
 


本社工場の改革が進み、私の支援も2年目に入った頃、品質のうち外注部品の品質改善に着手することになった。

先ず最初に、納入業者別に「受け入れ検品」の不良率を整理してもらった。
その結果、ワースト1は意外にも海外の子会社だった。

この海外子会社は、国内の本社工場に基幹部品を供給している工場で、本来グループの価格競争力を高めるために海外に進出したものだったが、それが戦力というよりグループの足を引っ張る存在にさえなっていることがわかった。

そこで、この海外子会社の品質の改善を、グループ経営戦略の最大の課題として取組むことになった。

2.会社をあげて品質改革を支援

 


早速、社長を筆頭に、本社工場の改革で実績を挙げ自信をつけた、製造、技術、品管、購買その他各部門の責任者やエキスパートによって構成された。

社長が関係部長を帯同して毎月渡航されるなど、品質管理、製造技術・技能、設計など指導は全部門に及んだ。また本社で実績を上げた製造部長が出向して内部から直接指導する体制も組まれ、後には本社で品質の改革を主導した品質保証部長が総経理に就任するなど、支援体制は万全で成果を期待させるに十分なはずだった。

しかし、1年経った翌年3月になって、本社の受け入れ検査における品質は改善しなかった。
それどころか、4月5月の2ヶ月はそれ以前の約2倍に当たる高い不良率になってしまった。

一体、何が原因なのか、万全と思われたそれまでの指導が効果を挙げ得ないのは何故なのか。
グループの経営戦略にとっても重大な問題だった。

  
3.2泊3日の訪問で答を出せるか
 


6月にはいって社長から中国の工場を見てほしいとの要請があった。
快く了解して日程の調整を行い、6月末に2泊3日で中国の工場を訪れることにした。

ところがいざ引き受けてみると、社長は工場を見て助言をして頂けばよいからと言われるものの、引き受けたからには結果を出さないといけない。しかも時間は正味2日間しかない。

実は、私は中国工場の品質改革がグループの戦略上最重要課題だとの指摘はしたものの、直接その支援に参加はしていなかったので、その指導内容については深く関与することはなかった。

そこで、専門的な知識経験も豊富だった品質保証部長に、指導の経過の記録があったら見せてほしいとお願いした。提示されたものは3月に行った監査報告書だったが、それは、細大漏らさず指導してきたことをうかがわせるに十分なものだった。

事実、本社工場の諸改革で実績を上げてきたメンバーが指導しているわけだから、指導の内容に問題があるはずはなかった。それでは一体何が問題なのか、何が欠けているのか。

勿論行ってみなければ詳しいことはわからない。しかし、時間は僅か2泊3日である。

何をすれば結果が出せるのかある程度課題を想定して準備をしなければならないと思った。
そして一つの結論に達した。2泊3日のスケジュールを社長に提示し、その準備をお願いした。

  
4.カギは「目標設定」と「アクションプラン」
 

私が想定した課題は「アクションプラン」の欠如だった。
いかに適切なことをいかに多く指導しても、それが実行に移されなければ成果を生むことはない。

いかに実行を保証するか、そのプロセスが欠如していたことが、成果を生まない原因だったのではないかということに思い至った。

そして、私は次のような2泊3日のスケジュールを社長に提示して準備をお願いした。

  
 
 
9:00
12:00
13:00
17:00
1日目
―――――
工場視察
幹部インタビュー
2日目
品質の改革・講義
アクションプランの作り方
品質について討議
  ・現状
  ・原因(Vital few)
  ・目標設定
3日目
品質改革アクションプラン
作成検討
―――――
―――――


5.直行不能率10%が11月に(5ヶ月後)0.33%に
 


2泊3日の1点集中の研修だった。中国人を含む工場幹部が熱心に参加して頂いた。
その後のフォローも申し分なかった。

後で聞いたことだが、後日全社員参加の決起大会を開き、中国人課長が私の講義内容を社員に解説し、一斉にアクションプランを各職場に掲示して全員参加で活動を開始したとのことだった。

その後の経過はグラフに見るとおりである。欠如していた「目標設定」と「アクションプラン」を補うことによってそれまで本社スタッフが行った指導内容が一気に結実し大きな成果につながった。



  ■バックナンバー

第1回 「全員参加〜“自分だけやっても意味がない”と思って誰もやらない」
第2回 「組織横断チーム自部門だけで解決するものは何もないのに部門間で責任のなすりあい」
第3回 「P.D.C.A.を回す―“立派な計画は立てるが達成したことがない”のはなぜか」
第4回 「10%の直行不能率が僅か5ヶ月で0.33%に―カギは二つ。目標設定とアクションプラン」
第5回 「“ルールはある、守らないのは確認不足と教育不足”では問題は解決しない」
第6回 「熟練と経験だけと言っていた社員が見違えるように改革・改善を始めた―PSIP4年を目前に」
■平石 奎太/平石経営研究所 所長
平石 奎太/平石経営研究所 所長
「トヨタ的企業文化を創り、営業利益率5%以上達成を支援」
1934年生まれ。東京大学法学部卒業後、三洋電機に入社。人事・教育訓練に従事。経営者教育、幹部教育などを企画。冷蔵庫企画部長・冷蔵庫国内営業統括部長歴任。その間、商品企画に力を注ぎ、2ドアー、3ドアー、ミニ2ドアーなど日本の冷蔵庫史をリードする数々のヒット商品を生み出す。冷蔵庫事業部・事業部長就任。2年余りで全員参加による経営体質の大改革を実現し、50億円の利益改善を達成する。続けて三洋スカイリゾート社長を歴任し、95年、三洋電機退社。2000年、平石経営研究所を設立。所長就任。





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