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団塊&シニアマーケットを狙え!
第4回 団塊の世代を再確認する
 (3)「団塊の世代のライフステージ」

有限会社エヌ・コンサルタンツ 西村 健一

(3)「団塊の世代のライフステージ」

ここまで団塊の世代に関して、人口構成面ならびにコーホート(世代体験)という2つの切り口で検討してきました。

今回は彼らの世代が直面しているライフステージ上の現実に関して検討していきます。


会社生活の終焉を迎えようとしている団塊の世代

団塊の世代の男性が今直面している最大のライフステージの変化は、定年が近づき会社生活が終焉を迎えつつあるという点です。

日本の企業の約84%が60歳定年制を採用しています。現在の団塊の世代の年齢が55歳から58歳、もはや定年への秒読み段階に入っているといえるでしょう。

しかも、昨今顕著である早期退職制度導入の流れから、退職年齢は低下傾向にあります。わが国の場合、従来は多くの定年退職者は関連会社などへの再就職などによって60代前半で7割以上、60代後半でも6割が就労するという世界でも突出した就業率を誇っていました。

しかし関連会社への再就職や顧問などの形での就労などは減少傾向にあり、この世界でもまれに見る状況も今後崩壊が避けられなくなりそうです。

一方現状に目を転じれば、企業内でのポジションに関して近年とみに見られる現象として「経営陣の若返り」という名の「団塊飛ばし」が盛んに行われています。

2002年の帝国データバンクの資料によると、2001年に新たに社長に就任した団塊の世代は4734人、これに対し40代は9042人となっています。

また、賃金制度に関しても年功序列型から成果報酬型に切り替わってきており、従来のように無事勤め上げれば最後には高い地位と大きな報酬が得られるという状況ではなくなりつつあります。

さらには昨今の金融情勢から企業年金の確保も難しくなりつつあります。

つまり、団塊の世代は入社以来考えていた定年後のライフプランを、本来であれば見直さなければならない状況にあるわけです。

しかしながら現実にはまだ、60代以降の生活への対応を積極的に行うのではなく、何とか現状を守ることで将来への不安要素を減らそうとされているようです。

総務省や複数のシンクタンクによるこの世代の男性に対する調査において、団塊世代は他の世代よりも、人間関係や価値観の中心を会社においているという結果が出ています。

会社から離れるまであとわずかというこの時期においても、彼らの特徴的な考え方は「同僚に出世で遅れをとりたくない」「会社のためならある程度自分を犠牲にしても仕方がない」というものです。

できることなら、会社内で優位なポジションを獲得し、将来に対する不安要素(つまりリストラなど)を取り除こうと必死に頑張っていらっしゃるといえるでしょう。

この世代の平均的金融資産は2000万円強というところです。確かに彼らよりも下の世代と比較すると大きな金融資産を持っているといえます。

しかしながら、住宅ローン等の残債がある世帯が40%弱存在しますし、また従来に比べて60歳以降の再就職が難しい状況が訪れるとすれば、公的年金の支給開始(65歳)までの収入状況を考えると、従来言われているような「時持ち、金持ち」で消費意欲の高い団塊世代という思い込みはマーケティング担当者にとって危険かもしれません。

人間関係においても会社という枠組みの中での活動が主体であり、それ以外となると配偶者が唯一の頼りです。最近問題になりつつある、定年退職した途端まったく社会との接点をなくしてしまい、いつも配偶者の後ろをついて回るという状況が今後加速する可能性もあるでしょう。

また、一方では従来見られなかったような形での「仲間作り」という活動が活発に行われていくようになる可能性もあります。事実、最近のボランティア活動への参加の目的が「社会への貢献」から「同じ興味を持つに人々との交流」に変化しつつあるという調査結果もあります。


子育ての終了と新しい家族関係の模索

一方、主婦が大多数を占めるこの世代の女性に関しては、既に50代で大きなライフステージの変化をいったん乗り切っている方が多く見受けられます。

この主な要因は50代前半にほぼ完了する「子育て」です。それまで家庭生活において大きな位置を占めていた子供たちが、今の団塊の世代の家庭の場合、概ね独立して親元を離れてしまっています。

夫はまだまだ働き盛りですから妻は昼間に1人で過ごす時間を持てるようになります。この段階で、多くの女性たちは趣味を通じて交友関係を拡大しつつ、地域・近隣との関係も濃密にさせていきます。

また、それまで年に数回しか行き来のなかった親族同士の関係も(互いに時間的な余裕ができてきたということもあり)親密化していきます。特に彼女たちの両親が高齢化し、それに伴う健康不安などもあって頻繁に連絡を取り合うようになっていく傾向が見られます。

一部の家庭(10%程度)では親の介護という問題も発生しますが、概ね良好な兄弟姉妹関係が結ばれていきます。

つまり、この世代の女性たちは今、新たな人間関係の構築を図っている真最中なわけです。

今後の不安要因としては、この新しい交友関係に基づく対外的な活動が、夫の定年による家庭人化によって阻害される可能性でしょう。しかし彼らの世代は「友達夫婦」という言葉に象徴されるように、元来一緒に活動することを好む傾向があります。

ここから、今後の団塊世代の夫婦の活動パターンは、先にセカンドデビューを果たしている妻が、時間的余裕はできたが社会との接点の大部分を失った夫を、自分が有する交友関係や趣味などを通じて社会との新しい関係を作れるよう導いていくというものになるように思われます。


さて、3回にわたって団塊の世代について考えてきました。

次回以降は、今後の団塊&シニアマーケットを考える際に想定される、特徴的ないくつかの顧客タイプと、各顧客タイプに適していると思われる商品やサービスについて4回に分けて考えていきたいと思います。




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■バックナンバー

第1回 「シニア・マーケットはこう考える」
第2回 団塊の世代を再確認する(1)「団塊の世代の人口構成面での特徴」
第3回 団塊の世代を再確認する(2)「コーホートとしての団塊の世代」
第4回 団塊の世代を再確認する(3)「団塊の世代のライフステージ」
第5回 「団塊・シニアの購買基準を検討する」
第6回 「団塊・シニアに対するコミュニケーション戦略」
第7回 「あらたなタイプの生活者〜団塊を中心とするシニア前期世代」
第8回 「団塊・シニア市場の4つのファクター」
■西村 健一/有限会社エヌ・コンサルタンツ 代表取締役
http://www.n-cons.com/
西村 健一/有限会社エヌ・コンサルタンツ 代表取締役
経営コンサルタント。中小企業診断士。1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。大手証券会社における個人営業・法人営業・企画業務・株式公開業務、システム開発ベンチャー企業でのマーケティングマネージャーなどを経験後、コンサルタントに転身。中小企業から日本を代表する大企業まで企業規模にかかわらず、幅広くマーケティング戦略の指導・支援、新規事業進出戦略の立案・支援などを行っている。
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