顧客ニーズを満たせない事業は切り捨てよ！

私が、地方にある創業80年を迎える会社をコンサルティングしたときのこと。創業以来、
続けてきた事業が採算性が悪く、他の事業で得た収益で赤字を補てんする状態が続いてい
ました。明らかに、顧客ニーズとかけ離れた事業だったため、その事業から撤退し、その
事業に関わっている優秀な社員を別の事業に移して活躍してもらう戦略をアドバイスしま
した。


しかし、多くの古参社員の方が、「この事業は創業期からやっているものなので、どんな
ことがあってもつぶせない」ということで反対されていました。「設備投資にも莫大な投
資をしており、研究開発にも力を入れてきた。だから、事業を辞めてしまうのはもったい
ない」ということでした。


確かに、そうかもしれません。しかし、問題は「顧客ニーズとかけ離れた状態になってい
る」ということなのです。ドラッカーは、顧客は「自分が欲しいかどうか」「自分にどの
ような効用をもたらすか」にしか関心がないと述べています。つまり、ドラッカーから言
わせれば、顧客ニーズを満たせない事業や商品は存在する意味がないということなので
す。


時代が変われば、ニーズも変わります。ニーズに合わない事業から撤退し、ニーズのある
事業へシフトし、その事業へ集中投資することは、何らおかしなことではありません。ビ
ジネスとして至極まっとうな決断です。


赤字事業を継続して、会社がそれが原因で倒産することになれば、それこそ意味がありま
せん。顧客のニーズを満たせる事業にシフトして、会社を存続させることが、社会的責任
を果たすことにもつながるのです。

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