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『市場』の意味はひとつではありません |
市場を意識して、モノやサービスを『商品』として提供する。このような表現は、今や大
企業のみならず中小企業でも違和感がないものでしょう。
では、その『市場』とは何だろう?って考えてみたことはあるでしょうか。『市場』とい
う言葉は一般的になりました。ビジネスパースンであれば聞いたことがない人はいないく
らい、ごく普通の存在の言葉です。では、その『市場』は語られるその時の文脈によっ
て、2つあることは意識しているでしょうか。
それは、メディアなどで語られる『市場』と、商品としてモノやサービスを提供しようと
している企業が目指す『市場』は異なる、ということです。
マーケティングリサーチとか、メディアなどで「A社の製品Xは、市場で高い評価と支持を
得て〜」といった際に語られる『市場』は、過去の結果を表しているに過ぎず、企業が目
指す方向を示している訳ではありません。
勿論こういった情報を軽視しても良い、という話しではなく、これらが表す『市場』の様
子だけを情報源にしても仕方がないという意味です。では、企業が目指すべき『市場』は
どこにあるのでしょうか?
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市場とは、どこにあるものなのか |
モノやサービスの送り手である企業にとっての受け手は、言うまでもなく顧客です。顧客
が購入や利用の意志決定をすることで、企業のモノやサービスは受け入れられます。企業
は顧客に購入してもらわなければ事業活動が成り立たない、というシンプルなことに立ち
返れば、『市場』とは顧客の意志決定の中にあるということに行き当たります。
では、その意志決定に影響を及ぼすのは何か?自分自身が受け手の生活者・消費者として
振る舞うときのことを考えてみると思い当たるかもしれませんが、(厄介なことに)そこ
には理屈や理性的・合理的な要素のみならず、感情や気分といったものの存在を無視する
ことはできません。
これは一見B2Cビジネスに限った話しのように見えるかもしれませんが、B2Bビジネスでも
関わる個人の「役者」が増えるだけで、根本部分では同じです。窓口担当者、利用者、意
志決定者、それぞれの個人の共感を得ることが、送り手側のモノやサービスを受け入れて
もらう意志決定へのカギとなるのですから。
そうやってなされた個人の意志決定の集合体が、結果としての市場となる訳です。だか
ら、マーケティングリサーチやメディアで語られる『市場』と自社の『市場』は同じでは
ないし、注目すべきところも異なるのです。
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市場を獲得するために注目すべきターゲットは? |
商品の送り手(企業)側が狙うべき『市場』が顧客の意識の中にあるのであれば、自社に
とっての顧客を良く知る必要があります。狙うべきことをさらに絞っていくと、それは顧
客が購入への意志決定をするために、気持ちや感情に働き掛けることを意識する必要があ
るというところへつながっています。
しかし、だからといって「市場調査やユーザーインタビューが重要なのだ」というように
はなりません。(先にも述べたように軽視する訳ではありませんが)
ユーザー調査などから得られるニーズは、聞かれたその瞬間に思い当たる、不満や不安、
好き・嫌いに留まる場合が少なくありません。近い未来であっても、顧客が自分の欲しい
ものや、今は無いけれどあると嬉しいものを答えられる可能性は、非常に少ないと認識し
ておく必要があります。
だから、仮にその調査で得られたニーズを全て満たした商品を提供したとしても、顧客の
購入への『気持ち』を動かすとは限りません。不満は解消されたかもしれないけれど、
「積極的に購入するだけの理由」には水準が低いということが起きえるからです。送り手
側は顧客の様子から洞察し、「期待以上の何か」を作ることを常に意識する必要があるの
です。
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「期待以上の何か」を作るために |
市場というボンヤリとしたものから、顧客の洞察ということに視点を動かしていくと、
ターゲットユーザーという言葉も浮かびます。
このターゲットユーザーという言葉も市場と並び、よく眼にする単語です。顧客にとって
の「期待以上の何か」を作る視点で市場を考える上では、極端な話し、顧客となる『**
さん』を特定し、その人のベネフィットへ注目していくくらいでも良いのです。
専門的にはペルソナ手法などもありますが、そこまでではなくても中小企業でも取り組め
る方法はあります。その時のポイントは動詞で考えること。言い換えると、顧客の経験の
ための舞台をどのように用意するか。
自社が提供している商品が、形のあるモノであったとしても顧客経験から、商品戦略や
マーケティング戦略を組み立てることを試してみてください。お勧めです。
もし、その進め方が判らないようでしたら・・・そのための研修やプロジェクトを通した
人材育成は色々ご提案できますので、お気軽にご相談ください。
林田 浩一
( Twitter: http://twitter.com/k_hayashida )
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